2025~2026年を勝ち抜く基本戦略

2025~2026年を勝ち抜く基本戦略

1.多様化するWEB集客施策の中から自社の弱点に応じた優先順位付けを
今後の戦略を考えるにあたって重要なことは、WEB集客施策の「優先順位付け」を行うことです。ホームページ・SNS・WEB広告などWEB施策は多様化しており、多くの会社では実現可能な施策が限られています。限られたリソースで集客を最大化するためには、自社の弱点に応じた施策の優先順位付けが欠かせません。

WEB集客の目的は来場者数を増やすことです。来場数は「反響数」と「来場率」の掛け算で、更に反響は自社ホームページの「アクセス数」と「反響率」の掛け算で決まります。つまり、アクセス数を増やし、反響率を高め、来場率を向上させれば、集客数が伸びるということです。

WEB集客施策の多くは、これら「アクセス数増加」「反響率向上」「来場率向上」のいずれかを得意としている。例えば、WEB広告はアクセス数増加に、ホームページ改善は反響率の改善に効果があり、インサイドセールスやメルマガは来場率の改善につながる...という具合です。ポータルサイトは反響数増加に即効性がある施策と言えます。

では、優先順位付けはどのように行えばよいでしょうか?もし反響数が充足してない場合、アクセス数が不足しているのであればWEB広告の強化を、反響率が低いのであればWEB広告の強化を、反響率が低いのであればホームページの改善を優先的に進めるべきです。アクセス数と反響率の両方に課題がある場合は、ホームページやWEB広告の改善を進めつつ、短期間で反響を得やすいポータルサイト活用も選択肢になります。来場率に課題がある場合は追客施策を最優先で取り組むべきでしょう。

反響数・来場率とも一定の基準に達し、相応の来場数を獲得できている会社であれば、SEO・SNSなどで中長期的な認知拡大・ファン化を図ることが選択肢になるでしょう。反響不足かつWEBにリソースを割かない会社でSEOやSNSに注力するケースが見られるが、これらの施策は短期的に結果が出ることが少なく、かつ「自社の認知を高めホームページに誘導する」という観点ではWEB広告のほうが確実性は高い。流行に流されるのではなく、自社の具体的な課題に基づいて施策の優先順位を明確にすることが、WEB集客の成功には不可欠です。

2.来場予約の競争激化で「反響の質」が課題営業との連携で自社に最適な形を探る
様々な住宅会社と接する中で、最近多く話題にのぼるのがWEB反響の「質」の問題です。住宅業界のWEB反響は「資料請求」から「来場予約」が主流となり、それに伴い来場特典の金額が高騰傾向です。一般的に、特典金額の引き上げは予約増加に寄与するが、自社の強みに合わないお客様や特典目当てのお客様が増加するとにで商談・成約への歩留まりが悪化し、営業担当者が「WEB予約のお客様は質が悪い」という印象を持ってしまうことがあります。

対策として、特典金額は維持しつつ来場予約の条件を厳格化し、特典目当てのお客様を抑制するビルダーが増えてきました。例えば1度の来場だけでなく、完成見学会・セミナー・相談会への参加など複数回の来場を条件とするパターンや、住宅ローン事前審査・敷地調査の実施などを条件とするパターンです。これらの施策は歩留まり向上に効果的ではありますが、条件を厳しくし過ぎることで来場者数が減少するのは本末転倒であるため注意が必要です。

また、商談率・成約率を高めるためには、条件を闇雲に設定するのではなく、自社の営業における「勝ちパターン」に合わせることも重要です。例えば資金計画を入口とする商談が多い会社であれば事前審査やFP相談を条件とする...といった具合です。適切な条件設定にはWEB部門・集客部門と営業現場が連携し、必要に応じて条件を微調整するなど自社に最適な形を探るのが良いでしょう。この連携が不十分である会社は来場予約をうまく成約につなげられていない印象があります。

一方で一部のビルダーでは、来場予約獲得競争の疲弊や予約数の頭打ち感から、カタログ請求などハードルの低い反響獲得を強化する動きもみられる。カタログ請求は20年以上前から定番の反響獲得手法でありますが、近年はデジタルカタログを活用し、反響獲得時の入力項目を少なくすることでより多くの反響を獲得することも可能です。

このような施策が反響数を増やすことはほぼ間違いないのですが、実施する場合はインサイドセールスをはじめとする来場率向上施策をセットで行うことが必須です。これを怠ると「資料請求ばかりで来場につながらない」という、10年前に多くの会社が頭を悩ませた状況に逆戻りする可能性が高いです。この「反響の質」に関する問題は、全社共通の明確な正解はなく、各社の状況や戦略によって最適なパターンが異なる。

繰り返しになりますが、自社に合った戦略を集客部門・営業部門が連携して検討し、適切な戦略への落とし込みが求められます。今後も厳しい市場環境が予想される中で集客を伸ばし続けるためには、自社の弱点に基づいた集客施策の優先順位付けと、より良い反響を獲得するための戦略ブラッシュアップが重要です。

                           ※株式会社住宅産業研究所「TACT」参照