お客様の情報収集、WEB急増で展示場に迫る

お客様の情報収集、WEB急増で展示場に迫る

国土交通省が発表した最新の「住宅市場動向調査」では、注文住宅を検討するお客様の情報収集活動が、コロナ禍によってWEBへとシフトし、モデルハウスに比肩する集客ツールとなったことが、データによって明らかになった。

1.依頼先選定時のWEB利用率が大幅上昇「紹介」を大きく上回り「展示場」に迫る
住宅市場動向調査は、直近1年間に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯を対象に毎年実施されており、この中で「建築依頼先を探す際の情報収集手段」を毎回調べている。今回の2022年度調査における注文住宅の調査対象は、2021年4月~2022年3月の間に入居した方。前回調査との大きな違いは「コロナ禍の影響を反映している点」と言えよう。なぜなら、前回調査は2020年4月~2021年3月の入居者が対象であり、その大部分がコロナ第一波(2020年3~5月)より前に建築会社の選定を済ませていると考えられるためである。

今回の調査において、建築依頼先を「インターネットで探した」と答えたのは41.6%。前回調査の27.5%から実に14.1ポイントもの大幅な増加である。長年にわたって情報収集方法の第2位であった「知人等の紹介」を大きく上回り、トップの「住宅展示場」に次ぐ情報収集ツールとなった。さらに、トップである住宅展示場との差は、前回は21.5ポイントと大きな開きがあったが、今回は5.6ポイントにまで急接近しています。

地域別データ(大都市圏・その他の地域)を見ても、都市圏と地方圏でネット利用率にやや差がみられるものの、「インターネットが紹介を大きく上回り、展示場に迫っている」という状況は、地域を問わず全国共通の傾向と言える。

WEBの急激な伸びはおそらくコロナ禍以前、注文住宅のWEB利用率は分譲住宅・賃貸住宅などの半分以下と低く、伸びしろが非常に大きかった。ここ数年の行動変容によって伸びしろが一気に埋まり、他業界と同程度のWEB利用率に近づいたと考えるのが妥当である。いずれ訪れたであろう集客のWEBシフトが、コロナ禍によって早まったと言えそうです。

2.お客様の3人に1人がWEB上で来場予約・カタログ請求
今回の調査から、新たに「注文住宅の取得過程におけるインターネット活用」に関する調査項目が設けられた。オンライン商談・オンライン重説・電子契約など7項目について活用経験の有無を調べているが、ここでは集客と関わりの深い2項目をピックアップする。なお、下表では全国データと地域別データを併記しているが、先ほどのデータと同様、都市圏のほうがやや利用率は高いものの、トレンドに大きな地域差は無いようです。
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まず「ネットを通じた情報収集」の利用率は76.0%。前述の「建築依頼先の選定におけるネット利用率」は41.6%だったが、こちらは情報収集ということもあり利用率がさらに跳ね上がっている。おそらくこちらの「76.0%」が、注文住宅検討者の実質的なWEB利用率と考えて良いと思います。

そして注目したいのは「ネットを通じた問合せ・内見等の申込み」の34.7%という利用率。注文住宅の建築に至ったお客様の3人に1人がWEB上で来場予約やカタログ請求などを行ったということになります。コロナ禍当初の行動制限によりモデルハウス等が一時的に完全予約制となった影響もあるだろうが、WEB上でアクションを起こすお客様は想像以上に多いようです。行動制限の緩和が反映される次回以降の利用率が読みづらいものの、WEBによる来場予約が定着した現状を見る限り、大幅な下落の可能性は低いでしょう。

これらのデータから改めて浮き彫りになるのは「まずWEBで会社を絞り込み、次にモデルハウスを見学」というお客様像です。言い換えれば「WEBで選ばれなければモデルハウスを見ていただけない」ということでもあります。このようなお客様が今後は一般的になることを踏まえ、改めて自社のWEB戦略、モデルハウス来場を促す仕掛けをレベルアップしなければならくなるでしょう。

                        ※「株式会社 住宅産業研究所TACT参照」