集客減・受注減を生き残る基本戦略

集客減・受注減を生き残る基本戦略

1.HP主軸に複数施策でWEB集客全体を改善 特定の施策のみに偏らないよう注意
2024年1月~2月、住宅会社のWEB反響は、前年よりやや改善したものの、2年前の水準からは2割以上減少している。各社ともWEB広告の予算を増額し、アクセス数は大幅に増加したものの、肝心の反響が伴っていない状況です。

ホームページの改善によって反響率を高めることも重要だが、同時に、WEB広告の精度を高めて、自社の見込み客になり得るユーザーをより多く誘引するための施策も必要になります。さらに、カタログ請求が多い会社であれば、来場・商談にランクアップする施策も必要でしょう。つまり大事なのは、ホームページを主軸にしつつ、WEB集客の全体像を見たうえで、複数の施策を同時進行で進めることです。

住宅会社の中には、SNSの更新に熱心だがホームページの改善は後回しという例も少なくない。せっかくSNSファンを集めても、肝心のホームページが不十分であれば反響・来場増にはつながらない。近年ではWEB集客に相応の人員を割く会社も増えているだけに、バランスの良い施策実行が重要です。
では、WEB集客改善の具体的な方法を、ホームページへのアクセス→回遊→反響→来場の流れに沿って見ていきましょう。

2.アクセス数、WEB広告を代理店任せにしないレポートの不明点は確認、分析ツールで把握もする
まずはアクセス数の増加。今回はWEB広告を主軸に説明します。住宅会社がWEB広告の代理店から受け取っているレポートを見せていただくと、「月末に駆け込みで予算消化している」「広告経由で何件の反響を獲得したのかデータを取っていない」「メルマガ会員登録など獲得しやすい反響の獲得に偏りすぎており来場予約が皆無」など、求める成果に結びつかない広告配信を行っている代理店が多い。代理店レポートをあまり読み込んでいない住宅会社も多いため、まずはレポートを十分に読み込み、内容を把握する習慣付けが必須です。

「良く分からないから」と放っておくのではなく、不明点は代理店に十分な確認を行いたいです。ちなみに、住宅会社の一般的なWEB広告における最重要指標は「反響獲得単価(CPA)」。自社の求める水準に達していない場合は、代理店に改善策を求めたい。また、レポートにはキャンペーン別(広告の種類・施策別)の結果も記載されているため、極端に成果の悪いキャンペーンがないかも確認した方がいいです。また、WEB広告経由でアクセスしたユーザーの動きは、アクセス分析ツール「Googleアナリティクス」でも確認できます。広告代理店のレポートだけを見るのではなく、自社側で動きを把握することも必要です。

3.HP回遊率向上は分析力+改善精度がカギ効果高い「テーマ別コンテンツ」
ホームページにアクセスしたお客様の回遊を促し反響を増やすためには、やはり「ホームページ分析力」の向上がカギです。前述の「Googleアナリティクス」で自社ホームページの全体像と弱点を明らかにし、改善が必要と思われるページは「Microsoft Clarity」などのヒートマップツールでお客様の動きを個別に分析することが可能です。自社内における分析力の良し悪しと改善施策のスピード・精度が、ホームページ集客の成果を大きく左右するでしょう。

加えて、講師自身が実施し、比較的難易度が低く効果も見込める施策も紹介します。
1つはテーマ別コンテンツの作成。例えば自社ホームページ内に「平屋」に特化したページを作成し、平屋の施工事例・平屋を検討する際のポイント・平屋モデルハウスの案内などを掲載する。WEB広告で「〇〇市 平屋」などのキーワードで検索しているユーザーや、平屋に関心が高いユーザーに表示する広告のリンク先をこのページにすることで、反響を促進する効果があります。独立したランディングページではなく自社ホームページの一部に組み込むことで、自社ホームページ内の回遊によるユーザーも獲得できるほか、SEOで上位表示を実現できる場合もあります。

4.反響増はインサイドセールス強化必須 ランクアップを評価できる目標設定も
最後に、反響・来場を増やす施策について、最近は来場予約の獲得に頭打ちを感じている会社も多く、カタログ請求・会員登録などハードルの低い反響を強化する会社も増えている。すでにある程度の来場予約を獲得できているのであれば、このような戦略も決して悪くないです。やや極端ではありますが、電子版カタログの請求やメールマガジン登録であれば、氏名とメールアドレスだけでも対応可能であり、名簿の増加が期待できます。

ただし、ハードルを下げた反響獲得を行うのであれば、インサイドセールスの強化によるランクアップ施策は必須です。ここを怠ったまま反響の量ばかり増やしても、肝心の成果には繋がらない。コロナ禍の収束で減少傾向にある「オンラインイベント」「オンライン相談会」も、ランクアップとしてはまだまだ効果があります。また、住宅会社の中にはWEB担当の目標値を「新規来場の獲得数」に設定しているケースが目立つ。反響数ではなく来場数を目標にしているのは良いのですが、新規来場のみにフォーカスしていると、既存顧客のランクアップ施策が疎かになってしまう可能性がります。この時期は新年度に向けて目標設定を検討している会社が多いと思いますが、新規来場だけではなく既存顧客のランクアップによる来場も評価できる仕組みづくりが求められます。

                             ※株式会社住宅産業研究所「TACT」参照